アルミニウム合金A2017とA5052の比較：どちらを選ぶべきか？

2025年10月27日

アルミニウム合金は、その軽さや耐腐食性から、さまざまな産業で重宝されています。しかし、同じアルミニウム合金でも、種類によって特性や用途が大きく異なります。特に「A2017」と「A5052」は、それぞれ異なる特性を持つ代表的な合金です。あなたは、「どちらの合金を選べばいいのだろう？」と悩んでいませんか？

このガイドでは、A2017とA5052の違いを詳しく解説し、あなたのニーズに最適な選択をサポートします。これから、各合金の特性や利点、適用分野を比較し、どのような場面でそれぞれが活躍するのかを考えていきます。さあ、アルミニウム合金の世界を深く探求し、最適な選択肢を見つけましょう。

金属加工にお悩みの企業様へ

金属加工にお悩みの方は是非「アルミフライス加工製作所」へご依頼ください。

スタッフが丁寧にご案内いたします。

お問い合わせはこちら

1. A2017　A5052　違いの概要

1-1. A2017とA5052の基本特性

A2017: A2017はアルミニウム-銅合金で、非常に高い強度と耐摩耗性を持ちます。この合金は熱処理を施すことで強度をさらに向上させることができ、航空機の構造部品や高強度を要求される部品に利用されます。しかし、耐食性は比較的低いため、適切な表面処理が必要です。
A5052: A5052はアルミニウム-マグネシウム合金で、優れた耐食性と中程度の強度を誇ります。特に海水や塩分に対して非常に強く、海洋産業や化学プラントなどでの使用が多いです。加工性にも優れ、成形や加工が比較的容易です。

1-2. 用途の違いと選定基準

A2017: 高強度と耐摩耗性が求められる環境、特に航空機部品、自動車のエンジン部品、工具などの高負荷がかかる部品に使用されます。耐食性が低いため、腐食に対する処理が施される必要があります。強度が最優先されるプロジェクトに適しています。
A5052: 高い耐食性が必要な用途、特に海洋産業や化学産業で使用されることが多いです。軽量で加工性にも優れており、コストパフォーマンスも良好です。耐久性や長期的な使用が求められる環境に適しています。

2. A2017　A5052　違いに基づくアルミ合金の選定ポイント

2-1. 軽量化設計における考慮事項

A2017: 高強度が必要な場合に最適な選択肢です。軽量化設計を行う際、高強度を確保しつつも、合金の重量を抑えられるため、強度を重視する航空機や自動車の構造部品に適しています。
A5052: A5052は高い耐食性が特徴であり、軽量化と同時に耐久性も重視される場面で選ばれます。特に海洋や化学プラントなど、耐食性を必要とする環境では、この合金が選ばれる傾向にあります。

2-2. 使用環境に応じた合金の選び方

A5052: 海洋環境や化学プラント、食品産業などで使用される場合、A5052が最適です。耐食性を最大限に活かす必要があり、塩分や湿気に晒される環境に非常に強いため、長期間の耐久性が求められる場合に適しています。
A2017: 高温や摩耗の多い環境で使用される部品に最適です。自動車や航空機のエンジン部品など、過酷な環境下でも高い強度を保持できるため、極端な条件下での使用が求められる場合に選択されます。

3. A5052の物理的特性

3-1. 比重と融点の詳細

比重: A5052の比重は約2.68です。これはアルミニウム合金としては標準的な範囲にあり、軽量性が特長です。比重が低いため、航空機や自動車部品など、軽量化が求められる分野において好まれます。
融点: A5052の融点は約607〜652°Cです。これは他のアルミニウム合金と比較してもやや高い融点であり、高温環境でも比較的安定した性能を維持します。耐熱性があるため、熱処理を必要とする部品や高温で使用される製品にも適しています。

3-2. A5052の切削性と加工性

切削性: A5052は比較的切削性が良好であり、機械加工にも適しています。アルミニウム合金の中では加工がしやすく、切削工具の摩耗が少ないため、コスト効率の良い加工が可能です。ただし、硬度が高い部分では加工が難しくなる場合もありますので、適切な切削条件が重要です。
加工性: A5052は良好な成形性を持ち、圧延や引き抜きなどの加工が可能です。特に薄い板材やシート材としての加工においては非常に優れた特性を発揮し、加工後の精度が高く仕上がるため、幅広い用途で使用されています。

4. A2017　A5052　違いを他のアルミ合金と比較

4-1. A5056との比較

強度: A5056はA5052よりもやや高い強度を持ちますが、A2017には及びません。A5056は中程度の強度を有し、耐食性が非常に優れているため、塩水環境などでの使用に適しています。
耐食性: A5056はA5052よりもさらに高い耐食性を持ち、特に海水環境や化学プラントで使用される際に重要な役割を果たします。A5052は耐食性が高いものの、A5056ほどではありません。
加工性: A5052とA5056はどちらも加工性が良好ですが、A5052の方が切削性が少し優れています。A5056は少し硬いため、加工には多少の手間がかかることがあります。

4-2. 他のアルミ合金との特性比較

A2024: A2024は銅を多く含む合金で、強度が非常に高いですが、A5052と比べると耐食性は劣ります。A2024は航空機部品などで使用され、強度が重視される場面ではA5052より優れた特性を持っていますが、耐食性を優先する場合にはA5052の方が適しています。
A6061: A6061はA5052と比較して、強度が高いものの、耐食性はA5052に劣ります。A5052は特に耐食性が求められる分野（海洋、化学産業など）において優れた選択肢です。一方、A6061は強度が求められる構造部品に適しています。
A7075: A7075は非常に高い強度を誇りますが、耐食性が低いため、A5052のように耐食性を重視する用途には適しません。A7075は、航空機や高強度部品で使用されることが多いです。