フライスでアルミを加工する際の最適な送り速度とは?切削条件・計算方法・最適設定を完全解説

送り速度は単なる加工スピードではなく、切削抵抗、切りくず形状、工具寿命、面粗さに直接影響する重要な加工条件です。適正値を理解することで、加工品質と生産性を同時に向上させることが可能になります。
送り速度とは何か?基本定義と役割
送り速度とは、工具が1分間に移動する距離(mm/min)を示す値です。切削加工では次の2つの指標が重要です。
1刃当たり送り(fz)
工具の刃1枚が1回転で切削する送り量を示します。
テーブル送り速度(F)
実際に機械へ入力する送り速度です。
F(mm/min) = 回転数(rpm) × 刃数 × 1刃当たり送り(mm)
この計算式を理解することが、最適な加工条件設定の基本となります。
アルミニウム加工における適正送り速度の目安
工具径別の1刃当たり送り目安
| 工具径 | 荒加工 | 中仕上げ | 仕上げ加工 |
|---|---|---|---|
| φ6mm | 0.05〜0.08mm | 0.03〜0.05mm | 0.01〜0.02mm |
| φ10mm | 0.08〜0.12mm | 0.05〜0.08mm | 0.02〜0.04mm |
| φ20mm | 0.12〜0.20mm | 0.08〜0.12mm | 0.03〜0.06mm |
アルミニウムは切削抵抗が小さいため、鋼材よりも高い送り設定が可能です。
送り速度が遅すぎる場合の問題点
- 刃先への溶着が発生しやすい
- 摩擦熱の増加
- 工具摩耗の加速
- 仕上げ面の光沢低下
送りが遅すぎると、刃が材料を切削するのではなく擦る状態になり、構成刃先が発生しやすくなります。
送り速度が速すぎる場合の問題点
- ビビリ振動の発生
- 工具欠損のリスク増大
- 面粗さの悪化
- 加工寸法精度の低下
特に薄肉部品や長尺工具使用時は注意が必要です。
送り速度と回転数の最適バランス
送り速度は回転数とのバランスで決まります。
回転数が高い場合
- 送りを上げても切削が安定
- 切りくず排出性が向上
回転数が低い場合
- 送りを上げると振動が発生
- 仕上げ面品質が低下
適正条件の考え方については、フライス加工条件の最適化に関して解説で詳しく解説しています。
切りくず形状から判断する送り速度の適正
理想的な切りくず
- カールした短い形状
- 光沢がある
- 溶着が見られない
送り不足の兆候
- 粉状の切りくず
- 焼け色の発生
送り過多の兆候
- 厚く長い切りくず
- 加工音が大きい
切りくず観察は最も簡単で確実な調整指標です。
加工条件別:送り速度設定の実践例
高能率荒加工
- 高回転・高送り
- 切りくず排出重視
- 工具剛性が重要
精密仕上げ加工
- 送りを抑え表面粗さ改善
- 振動抑制が重要
薄肉加工
- 送りを下げる
- 切込み量を最小化
- 振動抑制対策を実施
工具種類による送り速度の違い
| 工具種類 | 特徴 | 送り設定傾向 |
|---|---|---|
| 2枚刃エンドミル | 切りくず排出良好 | 高送り可能 |
| 3枚刃 | バランス型 | 中程度 |
| 多刃工具 | 仕上げ面良好 | 低送り |
アルミ加工では切りくず詰まりを防ぐため、2枚刃または3枚刃が主流です。
送り速度と切削油の関係
送り速度が適正でも、切削油の供給が不足すると溶着や面粗さ不良が発生します。
- 潤滑不足 → 溶着発生
- 冷却不足 → 熱変形
- 排出不足 → 再切削
切削油の選定や供給方法については、アルミ加工用切削油に関して解説で詳しく解説しています。
送り速度最適化のためのチェックリスト
- 工具径と刃数を確認
- 回転数とのバランスを調整
- 切りくず形状を観察
- 振動や加工音を確認
- 仕上げ面の状態を評価
このチェックを繰り返すことで、最適な送り条件へ迅速に近づけます。
まとめ:送り速度の最適化が加工品質と生産性を両立する
アルミニウムのフライス加工では、送り速度の設定が加工品質、工具寿命、生産効率を大きく左右します。
- 送り不足 → 溶着・摩耗増加
- 送り過多 → 振動・精度低下
- 最適条件 → 品質と効率を両立
適正な送り速度は、工具径、刃数、回転数、加工条件のバランスから導き出されます。切りくず状態や加工音など現場の情報を活用しながら調整することで、安定した高品質加工が実現できます。
送り速度は単なる数値ではなく、加工品質を決定づける重要な制御パラメータです。正しい理解と実践により、加工トラブルを未然に防ぎ、生産性の高い加工環境を構築することができます。
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