アルミニウムの強度とは?合金別の違いと用途別の選び方を解説

アルミ合金は純アルミではなく、マグネシウム、シリコン、銅、亜鉛などを添加することで強度や耐食性、加工性を調整しています。そのため同じアルミでも機械的性質は大きく異なります。
目次
アルミ合金の強度を決める要素
合金元素の種類
- マグネシウム → 耐食性・強度向上
- シリコン → 鋳造性・耐摩耗性向上
- 銅 → 強度向上(耐食性は低下)
- 亜鉛 → 高強度化
熱処理の有無
時効硬化処理(T6など)により、同じ材料でも強度が大幅に向上します。
加工硬化の影響
冷間加工によって材料強度が上昇する場合があります。
代表的アルミ合金の強度比較
| 合金 | 引張強さ(MPa) | 特徴 | 主用途 |
|---|---|---|---|
| A1050 | 約70〜110 | 純アルミに近く柔らかい | 電気部品・装飾材 |
| A5052 | 約230〜280 | 耐食性・加工性に優れる | 板金部品・筐体 |
| A6061-T6 | 約290〜310 | 強度と加工性のバランス良好 | 機械部品・構造材 |
| A7075-T6 | 約540〜600 | 超高強度アルミ | 航空機・高荷重部品 |
この表から分かるように、A7075は一般構造用鋼に匹敵する強度を持つ一方、A1050は柔軟性重視の用途に適しています。
合金系統別の特徴と強度傾向
1000系(純アルミ系)
強度は低いものの、導電性・耐食性・加工性に優れます。
5000系(Al-Mg系)
中強度で耐食性が高く、板金や溶接構造に適しています。
6000系(Al-Mg-Si系)
熱処理により強度向上が可能で、構造材として広く使用されます。
7000系(Al-Zn系)
アルミ合金の中で最高クラスの強度を持ちますが、耐食性や加工性には配慮が必要です。
用途別に見る最適なアルミ合金の選び方
軽量構造部材
- A6061
- A6063
耐食性が求められる環境
- A5052
- A5083
高荷重・高強度用途
- A7075
- A2024
強度だけで選ぶと失敗する理由
加工性の違い
高強度材料ほど切削抵抗が増し、加工コストが高くなる傾向があります。
耐食性の差
銅を含む合金は強度が高い反面、腐食しやすい場合があります。
溶接性の問題
7000系は溶接に適さないため、構造設計に制約が生じます。
比強度(軽さと強さのバランス)が重要
アルミ合金の最大のメリットは比強度(強度 ÷ 密度)の高さです。
- 鉄の密度:約7.8
- アルミの密度:約2.7
同じ重量で比較すると、アルミ合金は優れた構造性能を発揮します。
設計・加工時に考慮すべきポイント
必要強度を明確化する
過剰品質はコスト増加の原因となります。
加工方法との相性を確認
切削加工、押出材、板金など製造方法により適材が異なります。
表面処理との組み合わせ
アルマイト処理や硬質皮膜処理により耐久性が向上します。
アルミ加工の注意点については、アルミ加工の注意点に関して解説で詳しく紹介しています。
アルミ合金の強度比較を理解することが最適設計につながる
アルミ合金は種類ごとに強度・耐食性・加工性が大きく異なります。用途に適した材料選定を行うことで、軽量化と耐久性を両立した製品設計が可能になります。
- 軽さ重視 → 1000系
- 耐食性重視 → 5000系
- 構造用途 → 6000系
- 高強度用途 → 7000系
強度だけで判断せず、使用環境・加工方法・コストを含めた総合的な視点で材料を選定することが、製品品質と生産効率を高める最も確実な方法です。
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