A3004アルミの特性・加工性・用途を現場向けに徹底整理【A3003との違いも解説】

A3004はA3003をベースに少量のMgを加えて強度を高めたアルミマンガン系合金です。耐食性・成形性・強度(A3003より上)を兼ね備え、建材・容器・産業機器など幅広く使用されます。
目次
A3004(Al-Mn-Mg系)の基本特性
A3004はA3003に比べて引張強さが高く、缶材や板金部品に多く採用される材料です。
| 項目 | 代表値(目安) |
|---|---|
| 比重 | 約 2.72 |
| 引張強さ | 約 180〜200 MPa |
| 降伏強さ | 約 120〜180 MPa |
| 主要元素 | Mn(約1.0%)・Mg(約1.0%) |
規格の詳細はJIS H 4000をご参照ください。
A3004と他アルミ材の比較
A3004 vs A3003
- 強度はA3004が明確に高い
- 加工性はA3003が若干有利
- 深絞り性はA3004が優秀(缶材で使用)
A3004 vs A5052
- 強度はA5052がさらに高い
- A3004は加工性と軽さ重視
- A5052は耐食性と強度のバランスが必要な構造材向け
A5052の詳細はA5052に関して解説をご参照ください。
A3004の加工性(板金・成形)
A3004はA3003以上に深絞り加工へ適性があり、缶ボディ材として広く使われています。
板金加工でのポイント
- 曲げ加工はA3003と同等以上に容易
- 絞り加工での割れが出にくい
- Mg添加により部分的に加工硬化が強く出る
A3004の溶接性
溶接性はA3003と同等で良好です。TIG・MIGともに問題なく使用できます。
- 溶接割れはほとんど起きない
- 母材のMg量は少ないため熱割れリスクは低い
- A5052との異材溶接も可能
A3004の用途
- 飲料缶ボディ(深絞り)
- 厨房機器
- 産業機器の外装カバー
- 建材パネル
- 空調・住宅設備の部品
A3004の切削加工の注意点
A3004はA3003と同様に延性が高く、切削では溶着やBUE(ビルドアップエッジ)に注意が必要です。
- 切削速度はやや高めで表面粗さを安定させる
- 工具はアルミ用コーティングが有効
- 切削油またはミストの併用で溶着を抑制
よくある質問(FAQ)
Q1. A3004はアルマイトできますか?
可能ですが装飾向きではなく、耐食性向上目的でのアルマイトが一般的です。
Q2. A3004は深絞り加工に向いていますか?
非常に向いており、飲料缶ボディ材として大量に使用されています。
Q3. A3004とA5052どちらを選べばよい?
強度・耐食性重視 → A5052、成形性と軽さ重視 → A3004 が基本です。
Q4. A3004は溶接で割れやすい?
いいえ。溶接割れは起きにくく、A3003同様に溶接性に優れます。
Q5. A3004は切削加工しやすい?
A3003よりやや硬いものの、溶着や工具摩耗に注意すれば問題なく加工できます。
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