A5052アルミニウム合金の腐食特性と効果的な対策ガイド

A5052アルミニウム合金は軽量で耐食性が高く、船舶部品や屋外構造材に広く用いられます。しかし、環境条件や加工条件によっては腐食が進行することがあり、設計・製造の段階で適切な対策を講じることが重要です。本記事では、腐食メカニズム、対策方法、実務での選定ポイントまで徹底解説します。

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目次

腐食の基本|A5052の特性とリスク要因

A5052はAl-Mg系合金で、Mg含有量が約2.5%と中程度です。通常の大気環境では酸化皮膜が自然に形成され、腐食は抑制されます。しかし、海水や塩害環境では局所腐食やピッティングが発生することがあります。腐食リスクの要因には以下があります:

  • 海水や塩分に曝される環境
  • 高湿度や温度変化による結露
  • 異種金属との接触によるガルバニック腐食

腐食の種類と発生場所

  • 均一腐食:表面全体が徐々に減少するタイプ。長期的な厚み低下に注意。
  • 局所腐食(ピッティング):海水や塩分付着部に小さな穴が発生。強度低下を招く。
  • 応力腐食割れ(SCC):応力のかかる部位で亀裂が進行。設計時に応力集中を避ける必要あり。

A5052の腐食対策|材料・表面処理・設計

A5052アルミニウム合金の腐食対策は、材料選定から設計・加工・表面処理まで多層的に実施することが重要です。

1. 表面処理の活用

  • 陽極酸化処理(アルマイト):耐食性向上と装飾効果。特に海洋環境で有効。
  • 化成処理(クロメート処理、セラミックコーティング):腐食抑制と塗装下地の強化。
  • 塗装・粉体塗装:紫外線や塩害からの保護層として有効。

2. 設計上の工夫

  • 水や汚れが滞留しない形状設計(排水孔、傾斜設計)
  • 異種金属の直接接触を避け、必要に応じて絶縁処理を実施
  • 応力集中を避けるためのR付き角や肉厚の調整

3. 定期点検とメンテナンス

  • 塩害地域では定期的な洗浄と乾燥
  • 腐食の兆候(白錆、ピットの形成)の早期検知
  • 腐食箇所への局部補修や再塗装

海洋用途での選定基準

船舶や港湾設備では、A5052は軽負荷部材や内装部材に適します。高荷重・高耐食性が求められる場合は、A5083など高Mg含有合金の使用が推奨されます。

環境別の腐食対策まとめ

環境 推奨対策 備考
屋外一般大気 自然酸化膜+軽度塗装 低コストで十分耐久可能
海洋・塩害環境 陽極酸化処理+塗装、排水設計 長期耐食性確保が必須
高湿度・結露環境 化成処理+定期洗浄 ピッティング抑制に有効

よくある質問


A5052はAl-Mg系合金で、海水や塩害環境、高湿度、異種金属との接触で腐食が進行することがあります。特に海洋用途ではピッティングや応力腐食割れに注意が必要です。


陽極酸化処理(アルマイト)や化成処理、塗装・粉体塗装が有効です。これらは耐食性向上や塩害保護に役立ちます。


A5052は軽負荷部材や内装部材に適しており、A5083は高耐食性・高強度が必要な構造材に向きます。

まとめ|失敗しないA5052腐食対策

  • A5052は軽量・耐食性に優れるが、環境次第で腐食リスクあり
  • 表面処理、設計、メンテナンスを組み合わせることで長期耐久性を確保可能
  • 用途・環境・強度要求に応じて、必要に応じて他合金との比較検討も重要

腐食特性を理解し、適切な対策を講じることが、安全性・耐久性・コスト最適化につながります。

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