A1050(純アルミ)切削・フライス加工ガイド|物性・注意点・工具条件まとめ

A1050(純アルミ)を切削・フライス加工する際の実務情報をまとめています。
化学成分・代表的物性・加工時の注意点・ワーク固定・工具選定・仕上げ工程・弊社の加工実績
まで、図面提出前に確認すべき情報を網羅しています。図面アップロードで
淀川金属が試作1個から見積り対応します。
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目次
A1050とは(物性・特徴)
A1050は純度99.5%以上の純アルミニウムで、A1100と同じ純アルミ系ですが、より純度が高い材料です。
電気伝導性・熱伝導性に優れ、成形性も高い一方で、強度は純アルミ系の中でも低めのため構造材には不向きです。
反射板・装飾材・化学工業用部品・熱交換用途などで広く使用されます。
基本物性(代表値)
| 項目 | 代表値(参考) |
|---|---|
| 化学組成(Alほか) | Al:≥99.50%、Si ≤0.25%、Fe ≤0.40%、Cu ≤0.05%、Mn ≤0.05%、Mg ≤0.05%、Zn ≤0.07% |
| 比重 | 約 2.70 g/cm³ |
| 引張強さ(代表) | 約 55–100 MPa(調質によって変動) |
| ヤング率 | 約 69–71 GPa |
(注)化学成分はJIS規格範囲の代表値です。ロット差があるため、量産時は材料証明書の確認を推奨します。
切削・フライス加工での特徴
チップ形成と切粉管理
- A1050は純度が高くA1100以上に延性が強いため、切粉が長い紐状チップになりやすい。
- 絡まりによる表面キズや工具折損を防ぐため、チップブレーカー付き工具・エアブロー併用が必須。
切削熱と変形(全般の注意点)
- A1050は非常に柔らかいため、押し変形が起きやすく、薄肉加工では特に注意が必要。
- 荒 → 仕上げの2工程で進め、最終仕上げは低切込み・一定送りで精度を出す。
- 細長ワークは変形しやすく、中央部の寸法ズレが起きやすいため支持点を増やす。
表面粗さと仕上げ品質
- 純アルミはバフや研磨で非常に良好な光沢が出る素材。
- 切削のみの場合、工具摩耗や切粉噛み込みによりムシレや曇りが発生しやすい。
- 仕上げは刃先が鋭いアルミ専用エンドミルが好適。
ワーク固定(治具)設計ポイント
- クランプ圧で変形しやすいため、広い当たり面・吸着治具が有効。
- 薄板は裏面サポートを多点配置してたわみを抑制。
- 僅かなクランプ跡でも凹みが残るため、クッション材を併用する。
工具選定・切削条件(代表例)
A1050はA1100同様、可塑性の高さから切粉処理を優先した刃形が適しています。
| 加工タイプ | 工具(例) | 回転数(目安) | 送り(目安) |
|---|---|---|---|
| フライス(表面仕上げ) | アルミ専用エンドミル(高ポリッシュ・鏡面刃) | 8,000–20,000 rpm | 0.05–0.12 mm/rev |
| 荒加工(高能率) | ラフィングエンドミル(チップブレーカー付) | 4,000–12,000 rpm | 0.2–0.5 mm/rev |
(注)機械剛性や工具メーカーの推奨条件を優先してください。弊社では形状・数量に応じ最適条件を実測して設定します。
表面処理・後加工(アルマイトなど)
- A1050はアルマイト処理が可能。ただし、純度が高く膜厚が均一になりにくい場合があるため、試作で確認するのが望ましい。
- 装飾用途では鏡面仕上げ → 化学研磨 → アルマイトの流れが一般的。
材料調達・トレーサビリティ
- A1050は純度の高さゆえに表面状態や導電性にロット差が出るため、量産前に証明書確認を推奨。
- 導電性が必要な用途(電気部品)は特にロット管理が重要。
7. よくある質問(FAQ)
- Q. A1050は薄板でも加工できますか?
- A. はい。吸着治具や多点支持で加工可能です。0.5~2mmの薄板試作実績があります。
- Q. A1100とA1050の違いは?
- A. A1050の方が純度が高く、より柔らかいため加工時の変形に注意が必要です。用途に応じて最適材を提案します。
- Q. アルマイト仕上げも依頼できますか?
- A. 可能です。外部協力先と連携し、試作から量産まで手配できます。
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