A5083(アルミ合金5083)の切削・フライス加工のポイント|淀川金属

A5083はアルミマグネシウム系合金の中でも強度・耐食性に優れることから、船舶・車両部品・圧力容器など幅広い産業用途で使用される材料です。本記事では、A5083を切削・フライス加工する際の特性、加工注意点、板厚別の傾向、実際の製品事例を淀川金属の加工実績に基づいて整理します。
目次
A5083の化学成分と機械的特性
| 元素 | 含有量(%) |
|---|---|
| Mg | 4.0〜4.9 |
| Mn | 0.4〜1.0 |
| Cr | 0.05〜0.25 |
| Fe | 0.0〜0.4 |
| Si | 0.0〜0.4 |
| Al | 残部 |
| 項目 | 値(代表値) |
|---|---|
| 引張強さ | 275〜350 MPa |
| 耐力 | 125〜200 MPa |
| 伸び | 10〜17% |
| 硬さ(HB) | 75〜95 |
A5083の特徴として、Mg 含有量が高いことから耐食性と強度がともに高く、溶接後の強度低下も比較的小さい点が挙げられます。
外部資料:JIS規格データ にて組成情報を確認できます。
A5083の切削・フライス加工で発生しやすい現象
- 加工硬化が起きやすく、工具摩耗が進みやすい
- 切り粉が溶着しやすく、表面粗さが悪化しやすい
- 厚板加工では内部応力の影響で反りが発生することがある
- バリが出やすい(特に薄板・端部)
A5083の加工性は「中程度」ですが、条件を最適化することで高精度加工が可能です。
淀川金属が推奨するA5083の加工条件
推奨切削条件の一例
| 項目 | 推奨値 |
|---|---|
| 切削速度 | 150〜250 m/min |
| 送り量 | 0.05〜0.15 mm/tooth |
| 工具材種 | 超硬エンドミル(Al用コーティング推奨) |
| クーラント | 水溶性切削油(溶着・バリ抑制) |
バリ対策として、以下の条件が有効です。
- 工具逃げ角を大きめに設定
- 切削油を多めに供給
- 最終仕上げで低送り・高回転に調整
A5083の板厚別加工傾向
- t1.0〜3.0mm:熱変形・バリが出やすい。高回転+低切込みが有効。
- t5〜20mm:最も加工しやすい領域。反りも少なく安定。
- t25mm以上:内部応力により反りが起きる場合があり、荒取り→仕上げの2工程が安全。
A5083の代表的な用途
- 船舶部品(ハル材・補強材)
- 自動車・輸送機器部品
- 圧力容器・タンク
- 産業装置フレーム
- 機械構造部品
よくある質問(FAQ)
Q1. A5083はA5052より硬いですか?
A5083のほうが強度・硬さともに高いため、構造部品や負荷の高い用途に向いています。
Q2. A5083は切削しにくい材料ですか?
A5052よりは加工性が下がりますが、適切な条件設定と工具選定で高精度加工が可能です。
Q3. 厚板の反りを抑える方法はありますか?
荒取り→中仕上げ→仕上げの3工程化や、両面加工により反りを最小化できます。
Q4. A5083の表面処理は可能ですか?
アルマイト処理が可能ですが、Mg量が多いため外観はA5052よりやや濁りが出る場合があります。
お問い合わせ・見積りについて
A5083の切削・フライス加工、厚板プレート加工、治具製作などのご相談は淀川金属までお問い合わせください。図面・仕様書があれば最短当日でお見積り対応いたします。
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