A1070(純アルミ・高純度材)の切削・フライス加工における実務データと注意点【淀川金属】

A1070(純アルミ 99.7%程度)に特化した切削・フライス加工の実務情報をまとめています。
化学成分・物性・加工特性・工具条件・ワーク固定・仕上げ・表面処理・弊社加工実績まで、
設計者・調達担当者が知っておくべき内容を体系的に整理しています。
困った時に最後に頼られる会社”淀川金属

他社様で断られた図面や、短納期・試作・難加工
でお困りなら、まずは淀川金属へ。
お客様の課題に合わせて、最適な加工方法と解決策をご提案します。

目次

A1070とは(物性・特徴)

A1070は純度99.7%クラスの純アルミで、A1100よりも不純物が少なく、導電性・耐食性・延性に優れています。
ただし強度は低いため、構造材というよりも電気特性や成形性を重視する部品に使用されます。


A1100との違いは A1100の切削加工に関して解説 で詳しく解説しています。

基本物性(代表値)

項目 代表値
化学組成(規格範囲) Al ≥99.7%、Si ≤0.20%、Fe ≤0.25%、Cu ≤0.04%、Zn ≤0.07%
比重 2.71 g/cm³
引張強さ 約 55–95 MPa
電気伝導率 約 62% IACS
ヤング率 約 69 GPa

(注)導電性が高いことから、電極・電気部品用途で使用されることが多い材料です。

切削・フライス加工での特徴

チップ形成と切粉処理

  • 純度が高く延性が強いため、A1100以上に長い切粉が発生しやすい。
  • 切粉絡みは表面傷・工具欠けにつながるため、チップブレーカー付き工具が有効。
  • エアブロー・吸引はほぼ必須。

寸法安定性と変形

  • 柔らかく押し変形しやすいため、仕上げ寸法は一度で出さないのが基本。
  • 薄肉加工では治具支持点が不足すると寸法ばらつきが発生。
  • 長尺・薄板は真空チャックの使用で効果が大きい。

表面仕上げ性

  • アルミ専用コーティング工具で良好な面粗度を得やすい。
  • ただし刃先摩耗が早いため、刃管理と工具交換タイミングが重要。
  • 光沢仕上げ品は追加バフ研磨等が必要な場合あり。

ワーク固定(治具)

  • クランプ跡がつきやすいので、ゴム板・保護材の併用が有効。
  • 薄肉・電極プレートは真空チャック推奨。
  • 振動しやすい形状は多点クランプで安定化。

工具選定と切削条件(目安値)

加工タイプ 工具例 回転数 送り量
仕上げ加工 2~3枚刃 アルミ用エンドミル 10,000–20,000 rpm 0.04–0.12 mm/rev
荒加工 ラフィングエンドミル 6,000–15,000 rpm 0.2–0.6 mm/rev

(注)工具メーカー推奨値が最優先です。

A1070の表面処理(アルマイトなど)

  • A1070はアルマイト処理可能。
  • 純度が高いため、A5052等より膜が均一になりにくい。
  • 外観品は事前サンプル確認が推奨。

材料調達・ロット差

  • 導電用途ではロット差が性能に影響するためミルシート推奨。
  • 表面状態は純度が高いほど傷がつきやすい。
  • 電極プレートは表面管理が重要(保護シート貼り付け推奨)。

    よくある質問(FAQ)

    Q. A1070は1個の試作から加工できますか?
    はい。図面アップロードで概算見積り(最短24時間)に対応しています。
    Q. 電極用途で表面管理はどこまで可能ですか?
    保護シート貼り付け・エアブロー洗浄など、使用条件に応じて対応します。
    Q. A1070とA1100の選定に迷っています。
    用途・電気特性・仕上げ条件などを踏まえ、最適材質をご提案します。
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