A1100(純アルミ)の切削・フライス加工 特性・注意点・事例|

A1100(純アルミ)を切削・フライス加工する際に必要な実務情報をまとめています。化学成分・代表的物性・加工上の注意点・ワーク固定・工具選定・仕上げ(表面処理)・弊社の対応実績まで、図面提出前に確認すべき情報を網羅しています。図面アップロードで淀川金属が試作1個から見積り対応します。
目次
A1100とは(物性・特徴)
A1100は「純アルミニウム系(アルミ度 ≧99.0%)」に分類される材料で、優れた導電性・熱伝導性・成形性・耐食性を持ち、装飾や放熱部材、軽量部品に採用されます。一方で機械的強度は低く、構造材には不向きです。
基本物性(代表値)
| 項目 | 代表値(参考) |
|---|---|
| 化学組成(Alほか) | Al:≥99.0%、Si ≤0.95%、Fe ≤0.95%、Cu ≤0.05%、Mn ≤0.05%、Mg ≤0.05%(規格範囲) |
| 比重 | 約 2.71 g/cm³ |
| 引張強さ(代表) | 約 60–120 MPa(加工材の調質により変動) |
| ヤング率 | 約 69–72 GPa |
(注)上記の化学成分は規格の上限値例です。材料ロット・仕入れ元により微差がありますので、設計値が決まっている場合は材料証明をご確認ください。
切削・フライス加工での特徴
チップ形成と切粉管理
- A1100は比較的軟らかく延性があるため長く粘るチップ(ひも状チップ)が発生しやすい。チップが刃先やワークに絡むと表面キズや加工の中断が発生するため、チップブレーカー付きの工具やチップ排出・吸引の対策が必要です。
切削熱と寸法管理
- 切削熱の影響で切削部が押し変形することがあり、特に薄肉や細長形状では寸法ズレやたわみが出る。荒加工では一定の余肉を残し、最終仕上げで寸法出しを行うのが基本です。
表面粗さと仕上げ
- A1100は仕上がりが比較的良好ですが、工具の状態・切削条件でバラツキが出るため、最終仕上げは適正な送り・回転数と刃先管理が必要です。必要に応じてバフ研磨やショット処理で表面を仕上げます。
ワークの固定(治具)設計ポイント
- 柔らかいためクランプ圧で変形しやすい。吸着治具・真空チャック・柔らかいクッション材を使った保持を推奨。
- 薄板は多点支持でたわみを抑える設計にする。固定点が少ないと振れ・ビビリの原因になる。
工具選定・切削条件
以下は一般的な指針です。最終的には形状・機械剛性・刃先形状で最適条件が変わります(弊社での実測例も参照可)。A1100は高い可塑性のため、刃形は一般に鋭い刃先よりもチップコントロールできる刃形が有効です。
| 加工タイプ | 工具(例) | 回転数(目安) | 送り(目安) |
|---|---|---|---|
| フライス(表面仕上げ) | 3枚刃エンドミル(TiAlN 避ける、アルミ専用コーティング推奨) | 8,000–20,000 rpm(工具径・機械で変動) | 0.05–0.15 mm/rev |
| 荒加工(フライス) | ラフカッター(チップブレーカー) | 4,000–12,000 rpm | 0.2–0.6 mm/rev |
(注)上記は一般的な目安で、工具メーカーの切削条件表を優先してください。弊社ではワーク形状に合わせた最適条件を実測して提示します。
表面処理・後加工(アルマイト等)
- A1100はアルマイト(陽極酸化)で表面保護・着色が可能。ただし、純アルミは合金に比べて膜の付着や仕上がりに影響が出る場合があるため、試作での工程確認が推奨されます。
材料調達・トレーサビリティのチェックポイント
- A1100はグレード(純度)や供給ロットによって導電性や表面状態が変わるため、量産前に材料証明(化学成分証明)で主要元素の確認を推奨。
7. よくある質問(FAQ)
- Q. A1100は1個から加工できますか?
- A. はい。試作1個から対応可能です。図面アップロードで概算見積りを提示します(24時間以内概算回答の専用ルートあり)。
- Q. 図面が無くても相談できますか?
- A. はい。簡易スケッチや要件(寸法・用途・ロット・許容誤差)をお知らせいただければ提案可能です。
- Q. アルマイト処理の手配はできますか?
- A. はい。弊社の外部提携先によるアルマイト・陽極酸化処理などの手配が可能です。事前に試作で色味・膜厚の確認を推奨します。
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