A2017(ジュラルミン)の特性・切削加工性・注意点を実務目線で徹底解説

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目次

A2017の基本的な化学成分と特徴

A2017は「ジュラルミン」として知られ、アルミ合金の中でも強度と切削性のバランスが非常に優れた材料です。主成分はアルミ(Al)で、銅(Cu)を主添加元素とする2000系に分類されます。

元素 含有量(代表値)
Al 約 90〜94%
Cu 3.5〜4.5%
Mg 0.4〜0.8%
Mn 0.4〜1.0%
Si・Fe 微量

外部情報として、JIS規格のデータは JIS(日本産業規格) にて確認できます。

A2017の特徴は以下の通りです。

  • 高強度で軽量
  • 切削加工性が優秀
  • 摩耗特性が良い
  • 耐食性はA5052・A6061より劣る
  • 溶接性が悪い

同じCu系であるA2024との違いは A2024の切削性に関して解説で詳しく解説しています にまとめています。


A2017の機械的性質(熱処理別)

A2017の強度は熱処理状態により大きく変わります。代表的なT4・T6の比較を以下に整理します。

項目 A2017-T4 A2017-T6
引張強さ 約 430 MPa 約 460 MPa
耐力 約 275 MPa 約 380 MPa
伸び 11〜15% 7〜12%

A2017の切削加工性

A2017はアルミ合金の中でも切削加工性が最も優れた材料の一つです。

切削加工での特徴

  • 被削性:非常に良好(A6061より高評価)
  • 切粉が細かく排出され加工が安定
  • バリが出にくい
  • 高速切削との相性が良い

推奨切削条件(一般的な目安)

加工内容 条件(目安)
エンドミル加工 Vc=300〜600 m/min
ドリル加工 Vc=80〜150 m/min
旋削加工 Vc=300〜400 m/min

注意点として、Cu含有により腐食反応が起きやすく、切削油の使用が必須です。


A2017の表面処理適性

A2017は表面処理の種類によって仕上がり品質に差が生じます。

処理適性の比較

処理 適性 理由
白アルマイト Cu含有により外観ムラが発生しやすい
硬質アルマイト 膜厚確保は可能だが外観は暗色になりやすい
着色アルマイト × 色ムラが避けられない
メッキ 密着性確保に高度な前処理が必要

外観目的でアルマイトを行う場合、A5052やA6063のほうが適性が高いです。


A2017の用途

  • 航空機部品
  • 産業機械部品
  • 治具・冶工具
  • 自動車部品(軽量化用途)
  • 精密切削パーツ

特に切削加工で高精度が必要な部品に適しています。


A2017を使用する際の注意点

① 耐食性が弱い

水分・海水環境では腐食が進みやすいため、防食処理が必須です。

② 溶接性が悪い

溶接割れのリスクが高く、基本的に溶接不可の材料として扱われます。

③ 表面処理で外観ムラが出る

白アルマイトでは特に注意が必要です。

④ 応力腐食割れの可能性

Cu系アルミ特有の性質で、応力と腐食環境が重なると割れが進行する場合があります。


まとめ

A2017は高強度・軽量・切削性に優れたアルミ材で、精密加工品に最適です。一方、耐食性・溶接性・表面処理外観面では注意点があるため、使用環境を理解したうえで選定することが重要です。

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