A2024アルミ(ジュラルミン)の特性・加工性・用途を淀川金属が徹底解説

本記事では、アルミ合金A2024の特性、A2017やA7075との違い、切削・曲げ加工の注意点を実務に直結する形で整理します。A2024の強度や用途に関してはA2017に関して解説で詳しく解説しています。
目次
A2024(ジュラルミン)の基本特性
A2024は銅(Cu)を主成分とする高強度アルミ合金で、航空機用途で広く使われています。強度と靭性のバランスがよく、A2017より強度が高い反面、耐食性は低いため表面処理が前提となります。
| 項目 | 数値の目安 |
|---|---|
| 比重 | 約 2.78 |
| 引張強さ | 約 430 MPa(T4) |
| 降伏強さ | 約 270 MPa(T4) |
| 主要合金元素 | Cu(3.8〜4.9%) |
A2024の化学成分詳細はJIS規格(JIS H 4000)を参照してください。
A2024とA2017・A7075の違い
A2024 vs A2017
- A2024のほうが強度が高い
- A2017は加工性が高く、バランス型
- A2024は耐食性が低く、アルマイト・陽極酸化がほぼ必須
A2017との使い分けは用途の強度要求値が基準となります。A2017の加工特性はA5052に関して解説でも比較の文脈で整理しています。
A2024 vs A7075
- A7075のほうが圧倒的に高強度
- A2024のほうが靭性が高く、破壊に対して粘りがある
- A7075は高強度だが加工時に反りやすい
A7075の特性に関してはA7075に関して解説で詳しく記載しています。
A2024の切削加工のポイント
A2024は高強度で切削性は良好ですが、Cu含有により工具摩耗がやや早くなる傾向があります。
- 高強度ゆえに切削熱が発生しやすい → クーラント必須
- 工具摩耗が早い → 超硬工具が推奨
- バリが出やすい → 切削条件の最適化が必要
A2024の曲げ加工・板金加工の注意点
A2024は高強度ゆえに割れやクラックが発生しやすく、板金加工には不向きです。
曲げ加工のコツ
- 曲げ半径は板厚の 3〜5 倍以上確保
- T4(焼入れ・自然時効)のほうが曲げやすい
- T6は非常に割れやすく、基本は非推奨
曲げ加工前処理としての応力除去焼鈍は効果があります。
A2024の用途
- 航空機構造材(外板・リブ・骨材)
- 機械部品(高負荷部)
- 自動車・産業機械の高負荷部品
A2024の表面処理について
耐食性が低いため、表面処理はほぼ必須です。
- アルマイト(陽極酸化)
- 化成皮膜処理
- クロメート処理
銅含有によりアルマイトは白濁しやすく、意匠向けには不向きです。
よくある質問(FAQ)
Q1. A2024はアルマイトに向いていますか?
白濁しやすいため外観用途には不向きです。耐食性向上が目的の場合には有効です。
Q2. A2024は溶接できますか?
基本的に溶接不可です。溶接すると割れや強度低下が起こるため機械加工・締結が前提となります。
Q3. A2017からA2024への置き換えは可能ですか?
強度アップ目的で可能ですが、耐食性低下・加工難度上昇などの副作用があります。
Q4. A2024の曲げ加工はできますか?
割れが発生しやすく、基本的には非推奨です。T4材を用い、曲げ半径を大きめに設定すれば一部可能です。
Q5. A2024の納期は長くなりますか?
A5052やA6061に比べて流通量が少ないため、材料入手に時間がかかる場合があります。
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