A3003アルミの特性・加工性・用途を淀川金属が実務者向けに整理

A3003はマンガン(Mn)を添加した非熱処理型のアルミ合金で、耐食性・成形性・溶接性に優れています。A3003とA1050の違いに関してはA1050に関して解説で詳しく解説しています。
目次
A3003(Al-Mn系)の基本特性
A3003は純アルミに比べて強度が高く、板金加工全般で広く使用されている汎用アルミ材です。耐食性に優れ、食品設備や建材にも適しています。
| 項目 | 数値の目安 |
|---|---|
| 比重 | 約 2.73 |
| 引張強さ | 約 110〜160 MPa |
| 降伏強さ | 約 40〜120 MPa |
| 主要合金元素 | Mn(1.0〜1.5%) |
詳細な物性はJIS H 4000(JIS規格)で確認できます。
A3003と他材質の比較
A3003 vs A1050
- 強度はA3003が高い
- 成形性はA1050が上
- 外観はどちらも良好(光沢あり)
A1050との加工適性の違いはA1100に関して解説でもあわせて整理しています。
A3003 vs A5052
- 強度はA5052が圧倒的に高い
- A3003は曲げが容易で板金加工向き
- A5052は耐食性と強度を両立した構造用途向き
A5052の詳細はA5052に関して解説に記載しています。
A3003の板金加工の特徴
A3003は非熱処理型のため、硬化による割れが起きにくく、板金加工で扱いやすい材質です。
板金加工でのポイント
- 曲げ半径は板厚の 1〜2 倍で十分
- 深絞り加工にも適する
- 展伸材は均一な延性があり変形しやすい
A3003の溶接性
A3003は溶接性が高く、TIG・MIG溶接に適しています。食品機械・厨房設備などの用途で重宝されます。
- 溶接後の割れが出にくい
- 母材同士の接合が安定
- A5052との異材溶接も比較的容易
A3003の用途
- 空調機器部品
- 厨房設備
- 電気機器の筐体
- 住宅設備(屋根材・内装部材)
- 食品系タンク・容器
A3003の切削加工の注意点
A3003は柔らかく延性が高いため、切削では「溶着(ビルドアップエッジ)」が発生しやすい材質です。
- 切削速度はやや高め(表面粗さ対策)
- 切削油またはミストを併用
- 工具はシャープエッジの超硬工具が有効
よくある質問(FAQ)
Q1. A3003はアルマイトできますか?
可能ですがA5052のような強固な皮膜は形成されません。意匠用途よりも耐食用途向きです。
Q2. A3003は溶接に向いていますか?
非常に向いています。厨房設備やタンク類で多用されます。
Q3. A3003とA5052どちらを選べばよい?
強度が必要 → A5052、加工性重視 → A3003 が基本的な選択基準です。
Q4. A3003は曲げ加工で割れますか?
割れにくく、曲げ加工に適しています。板厚1〜2t程度なら小R曲げも容易です。
Q5. A3003の反りは起きやすい?
純アルミ系よりは強度があるため、極端な反りは起きにくい材質です。
.png)