A5052アルミの特性・加工性・用途を現場向けに徹底整理【A5083との違いも解説】

目次
A5052(Al-Mg系)の基本特性
A5052はMgを約2.2〜2.8%含む非熱処理合金で、強度・耐食性・成形性のバランスに優れる材料です。
| 項目 | 代表値(目安) |
|---|---|
| 比重 | 約 2.68 |
| 引張強さ | 約 230〜280 MPa |
| 降伏強さ | 約 150〜240 MPa |
| 主要元素 | Mg:2.2〜2.8% |
規格の詳細はJIS H 4000をご覧ください。
A5052と他材質の比較
A5052 vs A3003
- 強度はA5052が大きく上
- 耐食性もA5052が高い
- 曲げ加工はA3003がやや有利
A3003の特性はA3003に関して解説をご参照ください。
A5052 vs A5083
- A5083の方が強度が高い(船舶・圧力容器用途)
- A5052は加工性が高く、一般産業向けに使いやすい
- 価格はA5052の方が低め
A5052の板金加工性
曲げ加工
- 曲げRは板厚×1.0〜1.5が標準目安(L曲げ)
- 曲げ割れはほとんど起きない
- ヘアライン方向と直角曲げでは割れに注意
絞り加工
- A3003より深絞り性は劣る
- 軽絞り・中絞り程度は可能
溶接性
- MIG・TIGともに良好
- 溶接後は熱影響部が軟化するため強度低下に注意
- A5083と異材溶接も実績あり
A5052の切削加工性
- 溶着(BUE)が発生しやすいためアルミ用コート工具が有効
- 切削速度は高めに設定し、表面粗さを安定化させる
- MQL/ミスト併用で仕上がりが安定
A5052の用途
- 機械カバー・産業機器筐体
- ブラケット・フレーム
- 自動車部品
- 建材パネル
- 船舶・車両内装
材料調達時のチェックポイント
- 板厚誤差の影響が大きく、板金では公差確認が必須
- 保護シートの種類で表面品質が大きく変わる
- Mg量の違いで強度にバラツキが出るため材料証明の確認が有効
よくある質問(FAQ)
Q1. A5052はアルマイトできますか?
可能で、耐食性向上目的のアルマイトに適しています。装飾アルマイトの仕上がりも良好です。
Q2. A5052は曲げ加工に強い?
強度の割に曲げ性が良く、機械カバーやブラケットで多用されます。
Q3. A5052とA5083の選び方は?
強度重視 → A5083、加工性・コストバランス重視 → A5052 が基本指針です。
Q4. A5052は切削しやすい?
比較的加工しやすいですが、溶着対策(高速回転・適正工具・ミスト)が必須です。
Q5. 板金と切削どちらを選ぶべき?
形状が板金で構成可能なら板金が合理的。精密部品は切削が適しています。
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