アルミニウムは磁石にくっつく?磁性の有無と見分け方を完全解説

アルミニウムは磁石にくっつくのか?」という疑問は、材料選定・現場検査・リサイクル現場などで頻繁に発生します。結論から言うと、アルミニウムは基本的に磁石にくっつかない非磁性金属です。ただし、条件によってはわずかに反応するケースもあり、誤判定による材料事故が発生することもあります。本記事では、アルミニウムの磁性の有無、くっつく例外条件、鉄との確実な見分け方までを実務レベルで詳しく解説します。

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目次

アルミニウムは磁石にくっつくのか?結論と基礎知識

結論から言えば、純アルミニウムおよび一般的なアルミ合金は磁石にくっつきません。これはアルミニウムが反磁性体に分類され、磁場に対してごく弱く反発する性質を持つためです。

鉄・ニッケル・コバルトなどは強磁性体と呼ばれ、磁区構造によって磁石に強く引き付けられます。一方で、アルミニウムは電子構造上、磁区を形成しないため、磁場に引き寄せられません。

金属材料の磁性分類については、JISで解説されている金属物性区分が基準となります。

磁性の分類と代表金属

分類 磁石への反応 代表金属
強磁性体 強くくっつく 鉄、ニッケル、コバルト
常磁性体 ごく弱く引き寄せられる アルミニウム、マグネシウム
反磁性体 わずかに反発 銅、金、銀

アルミニウムはこの中で常磁性〜反磁性の極めて弱い磁性を示しますが、実務上は「磁石には反応しない金属」として扱われます。

なぜアルミニウムは磁石にくっつかないのか

磁石にくっつくかどうかは、金属内部のスピン配列と磁区構造によって決まります。鉄はスピンが同方向に揃いやすく、磁場を持続的に保持できます。一方、アルミニウムはスピンがランダムに分布しており、磁場を保持できません。

  • アルミニウムはd軌道電子を持たない
  • 磁区を形成できない結晶構造
  • 外部磁場が除去されると即座に磁性が消失

この構造上の違いにより、アルミニウムは磁石に吸着しないという性質が生まれます。

アルミが磁石にくっつくように見える例外ケース

実務では「アルミなのに磁石に反応した」という報告が稀にあります。これは以下のような例外条件が原因です。

鉄粉・鋼材が付着している場合

切削加工・研磨工程を経たアルミ部品には、微細な鉄粉が付着していることがあります。磁石が反応するのは、この鉄粉によるものであり、アルミ母材自体は磁化していません。

異種金属クラッド・複合材の場合

アルミクラッド鋼や、アルミ+鉄の複合材では、内部の鉄層に磁石が反応します。外観だけでアルミと判断するのは危険です。

強力な電磁石による弱反応

研究レベルの強力な電磁石下では、常磁性反応としてアルミがわずかに引き寄せられることがありますが、工業用途ではほぼ無視できます。

アルミと鉄を確実に見分ける方法

現場で最も多いトラブルは「鉄とアルミの誤判定」です。磁石だけに頼らず、以下のような方法を併用することで判別精度が大きく向上します。

重量による判別

材料 比重
アルミニウム 約2.7
約7.8

同じ体積であれば、鉄はアルミの約3倍の重さになります。

切削屑の確認

  • アルミ:白銀色で軽く、手で潰せる
  • 鉄  :黒色〜灰色で硬く、潰れない

火花試験

グラインダーで削った際、鉄は火花が出るがアルミは火花が出ないという明確な違いがあります。

アルミ合金別に見た磁性の有無

アルミ合金は多種類存在しますが、基本的に全て非磁性です。

合金系 代表材質 磁性
1000系 A1050 なし
3000系 A3003 なし
5000系 A5052, A5083 なし
6000系 A6061, A6063 なし
7000系 A7075 なし

合金元素(Mg、Si、Cu、Znなど)は磁性を付与しないため、どのアルミ合金も磁石には反応しません

アルミが非磁性であることの実務上のメリット

  • MRI室・医療機器で使用可能
  • 電磁ノイズを嫌う電子機器筐体に利用可能
  • 磁気センサー誤作動の防止
  • 磁性粉体吸着トラブルが発生しにくい

特に半導体製造装置・リニアガイド・制御盤などでは、非磁性材料としてのアルミが重要な役割を果たします。

よくある誤解|ステンレスとの違い

「ステンレスもくっつかないからアルミと同じ」という誤解が多く見られますが、ステンレスは種類によって磁性を持つものがあります。SUS304は非磁性、SUS430は磁性あり、という違いがあります。

一方で、アルミは全系統で安定して非磁性であることが最大の違いです。

まとめ|アルミニウムは磁石にくっつかない金属である

  • アルミニウムは非磁性金属で磁石にくっつかない
  • 反応する場合は鉄粉付着やクラッド材が原因
  • 磁性判定には重量・切粉・火花試験の併用が有効
  • 全てのアルミ合金は原則磁性なし
  • 非磁性は医療・電子・精密機器で大きなメリット

アルミニウムは軽量・耐食・非磁性という三大特性を併せ持つ優秀な金属材料です。磁性の誤認は材料トラブル・事故・不良の原因となるため、本記事の内容をもとに確実な材質判別を行ってください。

よくある質問

Q.アルミが磁石に反応した場合は本物のアルミではないのですか?
A.
アルミが磁石に反応する場合、母材自体が磁化していることはほとんどありません。多くは切削時に付着した鉄粉や、アルミと鉄の複合材(クラッド材)が原因です。
Q.アルミ合金でも磁石にくっつく種類はありますか?
A.
A5052やA6061、A7075など、実用されているすべてのアルミ合金は基本的に非磁性です。Mg、Si、Cuなどの合金元素は磁性を付与しないため、どの系統でも磁石に吸着することはありません。
Q.磁石だけでアルミと鉄を判別しても問題ありませんか?
A.
簡易判別として磁石は有効ですが、鉄粉付着や複合材の場合に誤判定が発生します。現場では比重確認、切粉の色や硬さ、火花試験などの併用が推奨されます。
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