“A6063とA6061の違いを知ろう！両アルミニウム合金の特徴を徹底解説”

2025年1月9日

アルミニウム合金は、様々な用途に幅広く利用されていますが、中でもA6063とA6061は一般的によく使われる合金です。しかし、これら二つの合金にはそれぞれ特徴や使い分けがあります。本記事では、「A6063」と「A6061」の違いに焦点を当てて、それぞれの特性や利点、使いどころなどを詳しく解説していきます。もし、アルミニウム合金に興味をお持ちで、どちらの合金を選ぶべきか悩んでいる方にとって、この記事が役立つ情報を提供できることを願っています。さあ、両者の違いを知ることで、より正確な選択ができるようになりましょう！

金属加工にお悩みの企業様へ

金属加工にお悩みの方は是非「アルミフライス加工製作所」へご依頼ください。

スタッフが丁寧にご案内いたします。

お問い合わせはこちら

アルミニウム合金A6061とA6063の基本

アルミニウム合金A6061とA6063は、工業用途で広く使用される合金で、軽量で強度が高いという特徴があります。各合金には特有の利点があり、使用目的に応じた選択が重要です。

アルミニウム合金とは

アルミニウム合金は、純度の高いアルミニウムに他の金属（シリコン、マグネシウム、銅、亜鉛など）を加えて製造される合金です。この配合により、アルミニウムの物理的特性（強度、耐食性、加工性）を改善することができます。

特徴:
- 軽量で強度が高い
- 耐腐食性に優れている
- 加工性が良好

これらの特性により、アルミニウム合金は多くの産業で使用されています。

A6061の特徴

A6061は高い強度を誇るアルミニウム合金で、特に耐腐食性に優れています。また、加工性が良く、溶接や切削、曲げ加工などがしやすいという利点があります。

強度と耐久性:
- 高強度を持ち、耐腐食性にも優れています。
- 特に海水などの厳しい腐食環境に強い。
加工性:
- 溶接や切削、曲げ加工が容易。
- 製造現場での取り扱いが便利。
用途:
- 航空機や自動車の構造部品
- 建設業の部品など、強度が求められる場所に使用されます。

A6061はその高い強度と耐久性から、航空機、自動車、建設業などの重要な構造部品に使用されます。

A6061の特性詳細

機械的特性:
- 引張強度：約 290 MPa
- 屈服強度：約 240 MPa
- 延性：高
適用例:
- 航空機の構造部品
- 自動車の部品
- 橋梁や建物の部品

A6063の特徴

A6063はA6061に比べてやや強度が低いですが、その分軽量で優れた加工性を持っています。特に成形性が良く、細かい形状に対応できる点が特徴です。

強度と軽さ:
- A6063はA6061よりもやや強度が低いですが、軽量で優れた加工性を持ちます。
美観と表面仕上げ:
- 表面が滑らかで、美しい仕上がりにすることができます。
- アルマイト処理を施すことで、さらに耐久性を向上させ、美観も保持できます。
用途:
- 主に建築業界のサッシや窓枠、看板などに使用されます。
- 電子機器の外装など、装飾的な用途にも適しています。

A6063は、その軽量で加工しやすい特性から、建築業界や電子機器の外装など、装飾的な用途に適しています。

A6063の特性詳細

機械的特性:
- 引張強度：約 210 MPa
- 屈服強度：約 150 MPa
- 延性：非常に高い
適用例:
- 建築物の窓枠やサッシ
- 電子機器の筐体
- 看板や装飾品

A6061とA6063の化学成分

アルミニウム合金は、その化学成分によって特性や用途が大きく異なります。A6061は強度と耐腐食性に優れ、汎用性が高い一方、A6063は成形性と表面仕上げの美しさが特徴です。以下に、それぞれの化学成分をまとめ、類似素材との比較を行います。

A6061の化学成分

A6061は主に、アルミニウム (Al)、マグネシウム (Mg)、シリコン (Si)、銅 (Cu)、クロム (Cr) を含みます。マグネシウムは0.8～1.2%含まれており、シリコンは0.4～0.8%の範囲です。また、銅が0.15～0.4%含まれることで、合金に高い強度を付与します。クロム（最大0.35%）も含まれており、耐腐食性が向上します。これらの成分比により、A6061は高い汎用性を持つ合金として利用されています。

A6063の化学成分

一方で、A6063の特徴は、加工性の高さと美しい表面仕上げです。主要成分であるアルミニウムに加え、マグネシウム (0.45～0.9%) とシリコン (0.2～0.6%) が含まれます。これらのバランスにより、押出し加工が容易で、美観を重視した用途に適しています。鉄や銅の含有量はそれぞれ最大0.35%および最大0.1%と少なく、耐腐食性がさらに強調されています。

類似素材との比較

以下は、A6061およびA6063と、類似素材（A1070、A3003、A6005C）の化学成分を比較した表です。

材料	アルミニウム (Al)	マグネシウム (Mg)	シリコン (Si)	銅 (Cu)	マンガン (Mn)	鉄 (Fe)	特徴
A6061	残部	0.8～1.2	0.4～0.8	0.15～0.4	最大 0.15	最大 0.7	強度と耐腐食性が高く加工性に優れる
A6063	残部	0.45～0.9	0.2～0.6	最大 0.1	最大 0.1	最大 0.35	成形性が高く美しい仕上げが可能
A1070	99.7% 以上	–	最大 0.2	最大 0.04	最大 0.03	最大 0.25	純アルミニウムで、電気伝導性が非常に高い
A3003	残部	–	最大 0.6	最大 0.2	1.0～1.5	最大 0.7	耐食性に優れ、加工性が良い
A6005C	残部	0.6～0.9	0.6～0.9	最大 0.1	最大 0.1	最大 0.35	A6061より成形性が良く、構造材に適する

A6061とA6063の違いと用途

A6061は、マグネシウムと銅の含有量が多いため強度が高く、機械部品や構造材に適しています。一方、A6063は、押出し加工性が高く、窓枠や装飾品など、見た目が重要な用途に使われます。

類似素材との特徴比較

A1070は純アルミニウムで、電気伝導性が極めて高いため、電線や導電部品に利用されます。
A3003は耐腐食性と加工性が優れ、食品容器や屋外設備に適します。
A6005Cは成形性と強度のバランスが良く、A6061より柔軟な用途に対応できるため、建築資材や構造材に使われます。

A6061とA6063の機械的性質

A6061とA6063は、アルミニウム合金の中でも特に使用頻度の高い素材で、それぞれ異なる機械的特性を持っています。以下では、強度と硬度、伸びと耐食性、熱処理と加工性について詳しく説明します。

強度と硬度

A6061は、T6熱処理時の引張強度が310 MPa、降伏強度が276 MPaに達し、高い強度と硬度を兼ね備えています。この特性から、航空機部品や機械構造部材といった高い耐久性が求められる用途に広く使用されています。一方、A6063は引張強度が240 MPa、降伏強度が210 MPaと、A6061に比べやや低めですが、成形性や美観を重視する用途で活用されています。例えば、建築用フレームや装飾品などが挙げられます。

伸びと耐食性

伸び率に関しては、A6061が約8～10%（T6処理時）であるのに対し、A6063は約10～12%と柔軟性に優れています。このため、A6063は複雑な形状や加工を要する場面での使用が一般的です。耐食性については、どちらの合金も優れた性能を持っていますが、特にA6061は塩害に強く、海洋環境での使用にも適しています。一方、A6063は屋外環境や装飾用途に適しており、窓枠やガードレールなどに多用されています。

熱処理と加工性

熱処理後の特性では、A6061はT6熱処理を施すことで高い強度を発揮します。切削加工性が良く、溶接も可能ですが、溶接後の強度低下に注意が必要です。一方、A6063は熱処理によって適度な強度を持たせながらも高い成形性を維持できます。特に押出し加工に優れ、複雑な断面形状にも対応できるため、建築資材や押出し製品に最適です。

A6061とA6063の特性比較

以下に、A6061とA6063の機械的性質を表にまとめました。

特性	A6061	A6063
引張強度 (T6)	310 MPa	240 MPa
降伏強度 (T6)	276 MPa	210 MPa
伸び率 (T6)	8～10%	10～12%
耐食性	優れる	優れる
熱処理後の硬度	高い	中程度
加工性	切削性に優れる	成形性に優れる
主な用途	機械部品、船舶部品	建築用フレーム、窓枠

A6061とA6063の違いとは？

A6061とA6063は、アルミニウム合金としてそれぞれ異なる特性を持ち、用途や加工方法が異なります。以下では、物理的特性、加工方法、用途による選択基準について説明します。

物理的特性の違い

A6061は高い強度を持ち、機械的耐久性が必要な用途に適しています。引張強度は約310 MPa、降伏強度は276 MPaと非常に優れています。一方、A6063は強度がやや低いものの、成形性が高いのが特徴で、複雑な形状の押出し製品に適しています。

A6061: 強度重視、機械部品や構造物向け
A6063: 成形性重視、建築用フレームや装飾品向け

加工方法の違い

加工のしやすさにも差があります。

A6061は切削加工に優れ、細かな部品の製作に適しています。溶接後に強度低下が生じるため、必要に応じて追加の熱処理が求められます。
A6063は押出し加工に非常に適しており、複雑な断面形状の製品が容易に製造可能です。そのため、デザイン性が重要視される製品で多用されます。

用途による選択基準

用途に応じて、以下のように材料を選択します。

A6061: 航空機部品、船舶部品、産業用機械など、高い耐久性が求められる場合に使用。
A6063: 窓枠、建築用フレーム、装飾品など、美観や形状が重視される場合に使用。

A6061とA6063を選ぶ際のポイント

A6061とA6063を選ぶ際には、設計要件、コストパフォーマンス、供給の安定性と入手性が重要な基準となります。それぞれの観点について説明します。

設計上の考慮事項

A6061は、特に高い強度が必要な場合に適しています。例えば、重荷重がかかる機械部品や構造物では、A6061の耐久性が活かされます。また、切削加工にも適しており、精密な形状を求められる用途で重宝されます。一方、A6063は押出し加工に優れており、複雑な断面形状を持つ製品や、美観が重要な製品に適しています。これにより、建築用フレームや装飾品など、デザイン性を重視した設計に向いています。